スタッフブログ!つむぎ内・外よもやま話

すんぱもの

2012年11月19日  文責:川口

先週に引き続き、古書に関する話題です。

春・夏・秋と古本まつりに出店される古書店は、毎年ほぼ同じ顔ぶれです。
仏教関係に強い、学術書が豊富、美術系図録がメイン
など、それぞれに特色があります。

お気に入りを数軒覗いてから他に移るのが、自己流の楽しみなのですが、
最近、その外せないお店に加わったところがあります。
それは、寸葉もの(すんぱもの)を数多く扱うお店です。
寸葉ものとは、収集趣味の対象となる小紙片のことだそうで、
お店には、昔のチラシや切符などの古物がずらりと並んでいます。
戦前(特に昭和初期)のチラシなどを見ていると、
そのデザインや活字の面白さに惹かれ、つい買ってしまうことが多いのですが
同じく掘り出し物を探す人々で、お店のテントはいつも賑わっています。

さて、初めてお店を覗いた際、非常に驚いたことがあります。
それは、絵葉書の存在です。
なんと絵葉書は、実際にやり取りされた
使用済みのものが多く含まれているのです。
お礼状だったり、季節の挨拶だったりというものを目にしましたが
なかには生々しいものもあるのではないか…と秘かにハラハラします。

自分が友人に送った絵葉書が、
例えば80年後に公然と売られる図を想像すると
かなり恥ずかしいものがあります。
ただ、その時代を生きた人々の
言葉遣いや趣味、世相などを知るうえでの貴重な資料
ということもできるのでしょう。

読書の秋、といいますが
古書店での楽しみ方としては、
寸葉ものを探してみるのも、面白いと思います。