つむぎのお役立ち情報

森智勝先生の「もりもり元気レポートNo.17」

2008年03月06日

 10月の声を聞いて、すっかり涼しくなってきました。あの猛暑・酷暑の夏はいつのことだったのだろうと思ってしまいます。私は相変わらずの巡業生活の最中です。9月だけでも、神戸、広島、千葉、山口、東京、金沢、横浜、名古屋、大阪を回りました。10月も京都、豊橋、東京、名古屋、広島、立川への遠征?が決まっています。どこかのセミナーで皆さんとお会いできることを楽しみにしています。
 
 10月のことを旧暦では神無月と言いますね。日本中の神様が会議のため出雲に集結して不在になることに由来し、出雲地方だけは「神在月」と言います。この故事の通りだとすると、日本の最高神である天照大御神も出雲に出掛けていったことになります。どう考えてみても出雲の神様(大国主命)の方が上位です。つまり、この故事は古事記・日本書紀に書かれている「国譲り」以前に成立したと考えられます。実際に、アマテラスの出身地と思われる対馬地方では「ウチの神様は一番遅くに出雲に出掛け、一番最初に帰ってくる」という伝承が残っているそうです。どう考えても組織の№2の振る舞いです。
 
 以上のような神話は現在の教科書では教えません。もちろん、塾で教えることはないでしょう。しかし、そうした物語として「神無月」を説明すると、子供たちの興味を惹き知識の定着にもつながります。また、今の塾は、学校の授業を越えた指導を心掛けないと支持されません。
 こうした「小ネタ」を準備して「学校では教えない知識」を提供することは口コミの拡大に思わぬ効果をもたらすものです。それぞれの教科担当者が、少しずつ「小ネタ」を集めてデータベース化することをおススメします。
 
 以上は一つの例ですが、来年度の教務内容を考える場合、ただ単に学校授業の補習機関として自塾を位置付けていると経営は苦しくなります。
 「ゆとりの教育」の成果?として、補習塾に対するニーズ圧力が大きく低下しているからです。補習塾の「見込み客」は減少の一途をたどっています。自塾の教育理念を再度確認し、それを地域に発進すると共に、その理念に合致した教務内容を作っていく必要があります。いわゆる民間教育としての自主性が問われているのです。
 
 「見込み客」を考える場合、注意しなければならないことがあります。
ややもすると、地域の子供たち全てが見込み客と思っている人がいますが、それは間違いです。自塾を中心に半径2kmの円を書いてみてください。それが「あなたの塾」の市場です。その中に、いったいいくつの塾があるでしょう。多分、10や20の塾は存在しているはずです。例えば20の塾があったとして、塾を探している人(保護者)は、その全てに問い合わせることはありません。春に塾のチラシが20枚あっても、電話を掛けるのは3件です。その保護者は3つの塾にとっては見込み客ですが、残りの17の塾の見込み客ではありません。
 
 先月号でお話した「器を魅力的に作ること」は、直接的には見込み客を獲得するために必要なのです。多くの見込み客を獲得しなければ、多くの顧客を獲得できないのは当たり前の理屈です。顧客獲得の流れは、見込み客→顧客→リピート客→ファン客→紹介客の順番であり、けっしてその反対ではありません。ところが、多くの塾が紹介客から獲得しようと考えてしまいます。「いい授業をしていれば、自然と評判を呼んで生徒が集まってくる」と思っているのは「紹介客から獲得しよう」としているのと同じです。それでは塾の改革はなかなか進みません。
 まず、見込み客獲得のために器を替えるところから始めましょう。言葉を変えて言うと、目に見える形から変化させないと、全体の変化は市場には伝わらないのです。