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森智勝先生の「もりもり元気レポートNo.18」

2008年03月06日

 11月に入って朝晩の冷え込みが厳しくなり、北の国からは雪の便りも届いています。体調を崩されている方はいらっしゃいませんか。私は相変わらず巡業生活を続けています。12月中旬までは西へ東へと駆けずり回ります。どこかでお会いできるといいですね。
 
 多くの塾を訪問して感じることがあります。不調の塾は、塾内のリーダーシップに欠けていることです。もちろん、経営者のスタッフに対するリーダーシップもそうですが、塾生・保護者に対するリーダーシップの欠如が感じられてなりません。
 
 今、学校現場では「学級崩壊」と「モンスターペアレント」の問題が慢性化しています。その一因は教師のリーダーシップ欠如にあります。
 リーダーシップとは上昇へ導く力のことです。基本的に教師は子供たちの上に立ち、引っ張っていく力を必要としています。「指導力」と言われている力です。
 
 ところがいつの頃からか、「子供の人権」を尊重することが大義名分となり、「子供の目線で…」「子供の立場で…」という指導法が求められるようになりました。それはそれで必要な概念だとは思いますが、その風潮が行き過ぎたため、教師が子供のレベルまで降りてきてしまっています。
 
 本来、指導者と生徒が対等であるはずはないのですが、学校現場では「教師」と「生徒」が対等でなければならないかのような風潮が蔓延しています。結果、学級崩壊が生じ、「子供と対等な教師」に対する保護者からの無理難題が降ってくるのです。「教師の権威」の崩壊です。
 
 塾は言うまでもなくビジネスです。しかし、教育の現場に変わりはありません。塾講師が権威を放棄し、生徒・保護者の「我がまま」を許していると塾崩壊が始まります。
 
 特に、今の若い講師たち(20代〜30代)は叱られた経験に乏しいため、子供を叱ることができません。ましてや「保護者を叱ること」など不可能です。しかし、一部の子供・保護者の「我がまま」全てに応えていると、「クラス」という組織が崩壊するばかりか、経営としても成り立たなくなります。
 
 我々塾人は「指導者」としてのリーダーシップを放棄してはいけません。上昇力が失われると、確実に下降力が生まれます。負の力、怠惰へ導く力です。具体的に言えば、怠惰へ引っ張るリーダーが現れます。宿題を出すと「こんな宿題、意味無いよな!」とあからさまに発言する塾生が登場します。そして、負のリーダーは仲間を作り始めます。「なあ、お前もそう思うだろ?」と。こうして塾の現場でも「学級崩壊」が始まります。
 
 もちろん、本当に意味の無い宿題を提示することは問題外ですが、必要な宿題だと信じているならば、その時点で毅然とした態度を見せ、必要性を説き、説得する力が講師には求められます。それこそが塾講師のリーダーシップです。
 
 講師として大学生を採用している塾は多いと思います。宿題について(もちろん、宿題は一例ですが)「全てお任せ状態」にしていると、いつの間にか「怠惰なクラス」が出来上がっています。つまり、今一番求められているのは、経営者たる「あなた」のリーダーシップなのです。