つむぎのお役立ち情報

「ドクター森」の塾経営クリニックNo.6

2008年03月06日

Q)塾講師をしています。経営者から突然「業績が思わしくないので給与を下げる」と一方的に宣言されました。「こんな塾辞めよう」とも思うのですが、転職先の目処(めど)もなく悩んでいます。

 
A:マーケティングとは少し外れますが、マネージメントの問題は重要です。これをお読みの方は塾経営者がほとんどだと思いますので、その視点でお答えします。それぞれの最低限の役割を整理すると次のようになります。
 
  経営者−利益を出すこと
  塾長(教室長)−塾生を増やすこと
  講師−塾生の成績を上げること
  アルバイト−エラーをしないこと
 
 経営者の最大の責任は利益を出すことです。しかし、そのために一方的な給与カットに走るのは禁じ手です。ご自分の車を売ってでも社員の給与を払うべきです。また、酷なようですが、そうなる前に会社を整理する決断をすることも経営者の責任です。もともと塾は「現金先取り、経費後払い」という倒産しにくい業種です。そのため、倒産するときは周り(取引業者、従業員、顧客等)に多大な迷惑(損害)をかけてしまいます。デッドラインはどこかをしっかりと見極め、その手前で何らかの対処をしなければなりません。
 
 以前とは違い、経営者と従業員は主従関係ではなくビジネスパートナーと捉える必要があります。ビジネスパートナーとは本来、「相手がいなくても充分やっていける者同士が、協力したほうがより大きなメリット(付加価値)を生むから提携する」関係を指します。つまり、誤解を恐れずに言えば利害で結びついた関係のことです。
 
 質問者の「あなた」の力で塾生100人を集めることができれば、給与カットもなく転職先に困ることもないでしょう。また、そんな優秀な講師を手放す「バカな」経営者はいません。
 
 顧客満足と並んで、最近では社員満足が重要視されています。どうすれば社員満足は向上するか。以前参加した中小企業参加のセミナー分科会でこんな意見を聞きました。
 
 「お客様の喜びの声を聞いたときに社員は満足を感じると思うのだが…」
 
 それは車の修理工場を経営する社長の意見です。もちろん否定をするものではありませんが、こうした考え方の経営者は「お客様に喜んでもらうために商品をより安く提供する」戦略を採る傾向があります。なぜなら、お客様を喜ばすためには「値下げ」が最も安易な手法だからです。すると確実に社員(この場合は塗装技術者)の満足度は落ちていきます。
 
 誰が考えても「他社より安かったとお客様が喜んでいたよ」と言われるより「あなたの優秀な塗装技術のために他社より20%も高く商品が売れている。ありがとう。」と言われた方がモチベーションは上がります。
 
 講師は自らの技量を上げ、塾にとってなくてはならない存在になる。経営者はそれ(塾にとって講師は商品の中心です)を出来るだけ高く売る努力をする。そうした関係を築くことが「元気な塾」の条件です。我々がチョコレートを売っているのであれば1円でも安く提供することが顧客サービスかもしれませんが、教育(学習指導)は違います。
 
 「あの塾は授業料が高い。でも、あの塾に(あの先生に)お世話になりたい。」と言ってもらえる塾。そんな塾作りを目指してください。