つむぎのお役立ち情報

「ドクター森」の塾経営クリニックNo.12

2008年03月06日

Q)現在、小学生の集客に苦戦しています。中学生の料金と比較してみると、確かに高めの設定であるのは私も承知しています。料金の引き下げでお客さんはいらっしゃるのではないとは承知しているのですが、現在設定してある料金から次のように変更(値下げ)することを検討中です。(中略)料金の見直しをして来春の新規顧客ゲットを狙っています。

 そこで、諸経費についても見直しをして来春より月謝と共に引き下げる方向でいます。現在月割で2,000円いただいています。将来的なことを考えると、この諸経費引き下げというのはできるだけ行わずにいった方がいいものなのでしょうか?わたしには判断できかねます。先生のご助言がいただけると幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
 
A:これは先生自身が判断しなければならない問題です。基本的には「価格」に見合ったサービスの提供をしているかどうかが大切なのであって、価格の高低ではありません。客が納得する価格設定ならばOKではないでしょうか。もし、納得できないのであれば、月額100円にしても同じでしょう。要は2,000円だろうが1万円だろうが、それを払ってでも来たいと思わせる塾を作ることが重要です。価格を下げることで塾生が増えると思うのは間違いです。設定価格を上回るサービス提供を考えることが第一で、価格の引き下げは最終手段です。
 
 なぜなら塾というサービス業において「受講料を決定する物差し」が存在しないからです。これが他店と同一商品を扱う小売業なら話は簡単です。他店より1円でも安く売る方法を考えれば良いのですから。
 
 ところが指導料という実体のない商品に価格を付ける場合は「消費者の満足度との相対関係」が決定要素になります。同じ商品を売っている店が存在しないのですから、その商品価格は提供者が決定する以外にはないのです。ですから1万円でも客の来ない塾もあれば10万円でも殺到する塾もあるという現象が起きます。要は10万円を覚悟した客(この場合の顧客期待値は10万円です)に15万円分の満足度を提供できるかという問題です。この上回った5万円が客の感動であり、口コミ・評判の源泉です。
  
 つまり、受講料に客観的な適正価格は存在しないのです。そこが塾経営の難しさであり面白さでもあるのですが。
 
 そうしたサービス業においては積算的な価格決定の方法(一般的な価格決定法:原価+人件費+管理費+販売経費+…)は適さないと考えています。決めた価格を上回るサービスをどう提供するかを考える方が優位です。つまり適正価格を考えるのではなく、価格に対する「適正サービス」を考えるのです。
 
 それは結果として合格率や成績向上の実績数字で表され、それが評判を作っていきます。客は授業料1万円で成績の上がらない塾よりも2万円で成績の上がる塾を選ぶのは間違いありません。
 
 価格の高低に悩むよりもサービスの質の高低に悩んだほうが、出口が見つかりやすいと思うのですがいかがでしょう。今、来てくれている生徒さんの成績を飛躍的に向上させていますか?本人と保護者がビックリするくらいの成果を挙げていますか?そうした方法についてならばいくらでも相談に乗れますし、アイディアも出せます。しかし、単に「いくらくらいが適正でしょう」的な悩みの解消にはお役に立てる自信はありません。
 
 塾の原点は「成績向上」です。第一義的にそれを考えてください。
 「先生のおかげでこんなに成績が上がりました」という感謝の声、これをいくつ作れるかがのコアを太くしていくことにつながります。