つむぎのお役立ち情報

「ドクター森」の塾経営クリニックNo.17

2008年03月06日

Q)お母さんとの対話、なかでも電話での対応はどうすれば上達するのでしょうか。私はクレームの電話対応をしていると、より「お母さん」を怒らせてしまうことがあります。

 現在は止めていますが、以前は小学生の生徒たちと、休日に動物園に行ったり、ボーリングにも行ったりしました。しかし、今ではこういうのがかえって良くなかったと思うようになりました。というのも、どうもお母さんがクレーム、不満、疑問などが言いにくくなったようだからです。
 
 そのお母さんは最初、学習進行に対して疑問、不満があったそうなのですが、普段ぼくに良くしてもらっているという思いからなかなか言い辛かったようなのです(もちろん、お母さんの性格などもあるとは思いますが)。さらに、子どもがぼくのことを信頼している手前、ぼくに対する不満というかそういうのも言えなかったようで、そのことがかえって、不満を膨らませたのだろうと今では思っています。
 
 対応中の私の言葉(どの言葉かは私には分かりません。)にすごくショックを受けたらしく、ますます怒らせる結果となってしまいました。
 
 電話の対応マニュアルのようなものを体得すれば良い問題なのか、もっと根本的な問題なのかは、自分では分りませんが、お母さんと関係を築いていかなければならないので、そのために必要な事を学ばなければと思っています。特に、当塾では小学校低学年に力を入れているので、お母さんとの関係が一番大事だと思っています。
 
 多くの塾長先生はこのような失敗はないのでしょうか?森先生なら色々なケースをご存知だろうと思ってメールをしました。状況が的確に描写できた自信もありませんが、何かアドヴァイスを頂けたらと思っています。よろしくお願いします。
 
 
A:大前提として、塾にとっての顧客は「塾生」ではなく「保護者」です。常にその視点を持ってコミュニケーション能力を磨いてください。
 
 メールからは先生とお母さんの「やりとり」が分かりませんので、具体的なことは言えませんが、先生ご自身でおっしゃっているように、「塾生と近づきすぎる」のは避けるべきです。特にプライベートな付き合いは厳禁です。塾の公式行事としての遠足やボーリングはOKですが、プライベートで行なうと、逆差別を生じかねません。
 
 コミュニケーションの極意?は聞き役に徹することと、そのための「質問力」を鍛えることです。人はどうしても「言いたいこと」を言ってしまう傾向が強いものです。しかし、それが本当に「相手が聞きたいこと」かどうかは怪しい。ましてや、顧客である保護者とのコミュニケーションは「言いたいこと」を言っていては成立しません。そうですね、2:8の割合で相手にしゃべってもらうことです。特にクレームの場合は、相手の気が済むまで話してもらうことが鉄則です。そして、大切なことは謝るのではなく「お礼」を言うことです。
 
 「ありがとうございます。お蔭様で私が今まで気付かなかった○○に気付くことができました。すぐに□□という対処をさせていただきます。」
 
 「客」も自分がクレーマーだと思われるのは嫌なものです。お礼を言うことによって、客は「私はクレームを言ったのではなく、提言をしたのだ。」という意識を持つことになります。
 
 先生は哲学者、評論家ではなくビジネスとして塾人をやっています。塾人としてのコミュニケーション能力をぜひ、身に付けてください。ご存知でしょうが、日青協がやっているコーチングを学んでみてはいかがでしょう。きっと、勉強になりますよ。